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短編小説、ゲーム攻略

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【ただいまの場所 】短編小説

time 2025/06/02

【ただいまの場所 】短編小説

**第一章 幼馴染という距離**

「いつか、大人になったらさ…」

夏の終わり、川沿いの道を並んで歩く陽向と優奈。

二人は幼馴染だった。

「何?」

「うーん、なんとなく、ここにまた戻ってくる気がするんだよね」

陽向は空を見上げながら言った。

「そっか。それなら、私も戻ってこようかな」

優奈は軽く笑った。だが、それが幼馴染として過ごした最後の夏だった。

高校を卒業し、それぞれの道を歩んでいく。

陽向は東京の大学へ進学し、優奈は地元で働くことを選んだ。

日常は変わり、会う時間は減っていく。

「また会えるよね」

そんな言葉を交わしながらも、次第に距離ができていった。

**第二章 すれ違う時間**

五年後。

陽向は仕事の関係で地元に帰ってきた。

「もう随分経つな…」

駅を降りた瞬間、懐かしい風景が広がる。

そして、優奈のことを思い出した。

だが、その頃の優奈はすでに地元での生活に馴染み、新しい仲間に囲まれていた。

「陽向、久しぶり」

再会したとき、優奈は優しく微笑んだ。だが、どこかぎこちなかった。

陽向は気付いていた。

幼馴染としての関係は変わってしまっているのかもしれない、と。

**第三章 思い出の場所**

ある日、陽向は川沿いの道へ向かった。

「結局、戻ってきたな…」

懐かしさに浸っていると、後ろから足音が聞こえた。

「やっぱり、ここにいると思った」

振り向くと、優奈がいた。

「なんで?」

「昔、そう言ってたじゃん。『大人になったら戻ってくる気がする』って」

陽向は驚いた。

忘れていたような幼い日の言葉を、優奈は覚えていたのだ。

「今はどう?戻ってきて、何か変わった?」

優奈の問いに、陽向はしばらく考えた。

「昔はここに来ると、お前と一緒だった。だから、懐かしいって思うのは…結局、お前と過ごした時間なんだなって」

その瞬間、優奈の目がわずかに揺れた。

そして、小さくつぶやくように言った。

「…私も、そうだった」

**第四章 幼馴染じゃなくなる日**

それから少しずつ、二人はまた近づいていった。

昔話をしながら笑い合い、何気ない会話を楽しむ。

けれど、心の奥で陽向は気付いていた。

「幼馴染」のままではいられない、と。

そして、ある夕暮れ。

「陽向、私ね…」

優奈が何か言おうとした瞬間、陽向は言葉を遮るように優奈の手を握った。

「もう、『幼馴染』って呼びたくない」

優奈は驚いた顔をした。

陽向はそのまま続ける。

「お前は、俺にとって…もうそれ以上の存在だから」

長い時間を経て、幼馴染という関係が変わる瞬間だった。

優奈は静かに微笑み、陽向の手を握り返した。

「私も…そう思ってた」

そして、ふたりは幼馴染ではなく、「恋人」になった。

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