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【影の迷宮】短編小説

time 2025/06/15

【影の迷宮】短編小説

京都の静かな町に響くサイレンの音——夜の帳が降りると、すべてが闇に溶けていくはずだった。しかし、あるはずのないものがそこにあった。路地裏に横たわる男の変死体。苦悶の表情を浮かべたまま、冷たい石畳に沈んでいた。

刑事・神崎は現場に足を踏み入れた瞬間、妙な違和感を覚えた。死因は外傷なしの急性心不全。しかし、死体の傍らには奇妙な血の跡が散らばっている。検視官の報告では、被害者の体内から未知の毒物が検出された。そう、これはただの事故ではない——**殺人事件**だった。

調査が進むにつれ、被害者・佐久間には秘密があったことが判明する。彼は多くの人間に恨みを買っていた——金を騙し取られた者、裏切られた旧友、そして愛を弄ばれた女性。容疑者は複数。しかし、誰もが証拠不十分で、捜査は暗礁に乗り上げた。

ある日、神崎は佐久間が隠し持っていた手帳を発見する。そこには、ある一人の名前が記されていた——「M」。たった一文字の謎。しかし、その名を追ううちに、彼は見えない糸に絡め取られていった。

そしてある夜、神崎は罠にかかった。何者かに襲われ、暗闇の中で目を覚ます。冷たいコンクリートの床に転がる彼の横には、また一人の死体。今度の犠牲者は、事件の容疑者の一人だった。殺人者は、自分たちの手を汚さずに、関係者を次々と消していく——そう悟った瞬間、全身に戦慄が走る。

最後の証拠が揃ったとき、ついに「M」の正体が暴かれる。それは被害者の親友であり、密かに憎しみを抱いていた男だった。復讐のために計画された完全犯罪。しかし、神崎の執念がその計画に穴を開けた。

「M」は逮捕され、事件は終焉を迎えた。しかし、神崎の胸に残ったのは、正義とは何なのかという問いだった。この迷宮の果てに、真実があったのか——それは誰にも分からない。ただひとつ確かなのは、影の世界は今もそこに存在し、いつでも新たな物語が始まるということ。

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