2025/02/16

**第一章 はじまりのどんぐり**
幼い頃、紗季と悠斗は近所の森でよく遊んでいた。ふたりの秘密の遊び場は、小さな丘の上にあるどんぐりの木の下だった。
「このどんぐりを道しるべにしよう」
悠斗は拾ったどんぐりを並べて、小さな道を作った。紗季はそれを見て微笑みながら、自分もどんぐりを拾い、一緒に並べた。
「この道をたどれば、いつでもここに戻れるね」
幼い二人はそんな約束を交わしながら、どんぐりを並べては遊んだ。
**第二章 別れの予感**
時が経ち、高校生になった紗季と悠斗は、それぞれの道を歩き始める。悠斗はスポーツに夢中で忙しく、紗季は図書館で過ごすことが増えた。
「最近、悠斗と話してないな…」
紗季は寂しさを感じていたが、お互いに言葉を交わす機会が減っていく。ある日、悠斗が都会の大学に進学することを知った。
「私たち、もうあの森には行かないのかな…?」
紗季は問いかけたかったが、言葉にできず、ただ静かに時が過ぎていった。
**第三章 離れた時間**
悠斗が引っ越してから、紗季は一人で森を訪れた。どんぐりの木の下には、小さな道しるべのように並べられたどんぐりがまだ残っていた。
「あの頃に戻れたらいいのに…」
紗季はどんぐりを拾い、ポケットに入れた。しかし、現実は変わらず、悠斗とは連絡すら取らなくなっていく。
**第四章 再会のどんぐり**
数年後、紗季が地元の図書館で働いていたとき、一人の青年が訪れた。
「紗季?」
聞き覚えのある声。振り向くと、そこには変わらぬ笑顔の悠斗がいた。
「帰ってきたの?」
「うん。久しぶりにあの森に行ったら、どんぐりの道がまだ残っててさ。あれを見たら、紗季に会いたくなったんだ」
懐かしさと共に、心の奥に温かさが広がる。
**第五章 道しるべの先へ**
二人は再び森に向かった。どんぐりの木の下で、悠斗は紗季の手に小さなどんぐりをそっと握らせる。
「これ、覚えてる?」
懐かしい時間が、ふたりをゆっくりと包み込む。どんぐりは、ふたりを引き寄せる道しるべだった。
「もう離れないよ」
悠斗の言葉に、紗季は微笑んだ。どんぐりの道しるべが示したのは、再び交わる運命だった。
🍂✨