2025/02/16

**第一章 キャンドルの灯る夜**
暖かな光が揺れるレストランの窓際。
梨央(りお)は小さなキャンドルを見つめながら、ゆっくりとグラスを傾けた。
「……綺麗だな」
静かな声が隣から聞こえる。
彼女の目の前に座るのは、圭吾(けいご)。大学時代の友人だったが、いつの間にか特別な存在になっていた。
「キャンドルの火って不思議だよね。揺れてるのに、消えない」
「まるで……人の心みたいだな」
圭吾の言葉に、梨央はふと微笑む。
「簡単に消えるわけじゃないのは、誰かが大事に守ってるから、かな」
そして、その夜。揺れるキャンドルの光とともに、二人の関係は少しだけ変化し始めた——。
—
**第二章 交わる想い**
季節は移り変わり、二人は何度も同じレストランで過ごした。
特別な日ではなくても、ふたりで食事をする時間は、何より心地よかった。
「梨央って、結婚とか考えたことある?」
ある夜、圭吾がふと口にした言葉に、梨央は少し驚いた。
「結婚……?」
梨央はグラスを傾けながら、考える。
「正直に言うと、あんまり想像できなくて。でも……圭吾といると、未来のことを考えたくなる時がある」
その言葉に、圭吾は微笑む。
「俺も、同じことを思ってた」
静かな夜、キャンドルの炎がゆらゆらと揺れていた。
まるで、二人の心の揺れを映しているように——。
—
**第三章 約束の灯火**
半年後、二人は旅行先の小さな街の雑貨屋を訪れていた。
そこで、梨央はふと美しいキャンドルを見つける。
「これ、いいな……」
彼女が手に取ったキャンドルには、シンプルな文字が刻まれていた。
**「永遠の灯」**
圭吾はその文字を見つめながら、そっと梨央の手を取る。
「この火が消えないように……俺たちもずっと大切な時間を守っていけたらいいな」
梨央は驚いた顔をしたが、すぐに優しく微笑んだ。
「うん……ずっと、一緒にいたい」
そして、その夜。
キャンドルの優しい光に包まれながら、二人は静かに唇を重ねた——。
それは、たったひとつの小さな炎が、永遠の誓いへと変わった瞬間だった。