2025/02/16
**第一章：出会い**
東京の片隅にある小さなアンティークショップ「時のかけら」。そこには、店主の老人が大切に扱う数々の古い時計や砂時計が並んでいた。ある日、店の奥にひっそりと置かれた美しい砂時計を見つけたのは、大学生の遥（はるか）だった。
「この砂時計、すごく綺麗ですね。」
遥はそっと手に取った。ガラスの中で、金色の砂がゆっくりと落ちていく。まるで時間そのものが閉じ込められているようだった。
「それは特別な砂時計だよ。」店主の老人が微笑んだ。「持ち主の願いを叶えると言われているんだ。」
遥は半信半疑だったが、なぜかその砂時計に惹かれ、購入することにした。
**第二章：運命の再会**
砂時計を手に入れたその日、遥は大学の帰り道で偶然、幼馴染の奏（かなで）と再会した。奏は遥の初恋の相手だったが、数年前に遠くの町へ引っ越してしまい、ずっと会えずにいた。
「遥……？」
「奏……！？なんでここに？」
奏は驚いた顔をしながらも、懐かしそうに微笑んだ。「仕事の関係で東京に戻ってきたんだ。まさかこんなところで会うなんて。」
遥は胸が高鳴るのを感じた。偶然の再会に運命を感じずにはいられなかった。
**第三章：砂時計の魔法**
遥は奏との再会を喜びながらも、心の奥では不安を抱えていた。奏は東京に戻ってきたとはいえ、いつまた遠くへ行ってしまうかわからない。そんな時、ふと砂時計のことを思い出した。
「持ち主の願いを叶える砂時計……」
遥は試しに、砂時計をひっくり返しながら願った。
**「奏とずっと一緒にいられますように。」**
すると、その瞬間、奏からメッセージが届いた。
**「今度の週末、一緒に出かけない？」**
遥は驚いた。まるで砂時計が願いを叶えたかのようだった。
**第四章：告白**
週末、遥と奏は昔よく行った公園へ向かった。懐かしい風景の中で、二人はゆっくりと時間を過ごした。
「遥、覚えてる？昔、ここでよく遊んだよな。」
「うん、覚えてるよ。奏がいつも私を守ってくれた。」
奏は少し照れくさそうに笑った。そして、真剣な表情で遥を見つめた。
「実は……ずっと言いたかったことがあるんだ。」
遥の心臓が高鳴る。奏は静かに言葉を続けた。
「俺、ずっと遥のことが好きだった。遠くに行っても、ずっと忘れられなかった。」
遥は驚きながらも、涙がこぼれそうになった。
「私も……ずっと奏のことが好きだった。」
奏は優しく微笑み、そっと遥の手を握った。
「これからは、もう離れない。」
遥はポケットの中の砂時計をそっと握りしめた。願いは叶ったのだ。
**第五章：永遠の時間**
それから数年後、遥と奏は結婚し、二人で小さなアンティークショップを開いた。店の奥には、あの日の砂時計が大切に飾られている。
「この砂時計、持ち主の願いを叶えるんだって。」
遥は微笑みながら、お客さんに話す。
「本当ですか？」
「ええ、私の願いは叶いましたから。」
奏はそんな遥を優しく見つめながら、そっと手を握った。
砂時計の中の金色の砂は、今日も静かに時を刻んでいる。
**――二人の時間は、永遠に続く。**
